指と唇5

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指と唇5

「ヒギィッ!!!」 チサトのお尻は真っ赤な手形が付いた。 渾身の一打で目が覚めたのだ。 「良かったな。 一回で起きられて。 一回で起きなきゃ次にやるのは、いきなりキツイのにしようと思ってたんだ。 一回で起きれたご褒美に次のは優しいのにしよう。」 男は立ち上がってテーブルの上にあるロープとS字フックを手にとった。 チサトをそのままうつ伏せに寝かせて両足を開いて各々の柱にくくった。 ちょうど人という字に見える。 「今度は普段触るだけになってる背中、徹底的に刺激してみようかな?」 「ねえ、なんでこんなことするの? もう疲れたの。 休ませて…お願いだから。」 沈黙が訪れた。 チサトはもう喋ることも叫ぶことさえ自由なはずなのに、空気が重くのしかかる。 寒気さえ覚えるその空気は男から出ているようだ。 それ以上の言葉を継がせないその空気は、ただの怒気では片付けられないものを感じずにいることが難しいほどである。 「言うことは…それだけ? チサト…。」 チサトは生唾を飲んでその空気に耐えた。 この一言で何かを変えられるのだろうか? 疑問が首をもたげる。 「チサトは俺のこと愛してて、付き合ってる…そんなのわかってる。 でも俺が一番でなきゃ嫌なんだ。 チサトを愛してるのも…愛されてるのも俺じゃなきゃ…ダメなんだ…。」 どんな顔をしてるのか…チサトにはわからなかった。 男が何かを取りに行って戻ってくる。 「もうおしゃべり終了。 これが終わったら、休憩にする。 まあ俺のさじ加減だけどな。」 男はチサトの背中にキスをする。 愛撫を始める静かな合図だった。
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