タートルネックの接客

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タートルネックの接客

タートルネックの接客は他のキャバ嬢と180度違う。 簡単に言うならやる気ゼロ。 盛る気ゼロ。 媚びる気ゼロ。 それはどんなお客さんにも変わらなかった。 この日あたし指名のオッサンと、そのオッサンが接待する客2名の席についていた。 (※接待…仕事で繋がりのある人をもてなすこと。 夜のお店に連れてくる場合、取引先の人が好きそうなお店や女の子などを選んで連れてくるのが一般的。 つまり取引相手が満足してくれそうなお店選びをすることが大事。) 「タートルネックです」 相変わらずの無表情で接待客の横に座るタートルネック。 大丈夫か? ハラハラしてると、ヤツの横に座ってた新規のお客さんが声をかける。 「タートルネックって言うの?」 「うん」 「珍しいね」 最初はだいたいこのやり取りが繰り広げられる。 あたしも改名しようかな。 ボトルネックとかハイネックとか? それだとパクリだもんな。 オフショルにするか?オフショル率高いし。 そんなことを考えてると、タートルネックの横の客がヤツの胸を触ろうと手を伸ばした。 シュン! 早すぎてみえなかった。 その手を高速で後ろに縛り上げる。 「いてて…」 オッサンの表情が歪んだ。 「触りたいなら私を本気で落としてからにして」 「す、すいません…」 終わった… あたしの太客も今日で消えた…。
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