タートルネックがやってきた

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「タートルネックちゃん美人だね」 「ありがとう」 ニコリともせずに酒の減ったグラスにアイスを投入している。 「昼間は働いてるの?」 「働いてない」 「夜一本?」 「うん」 「夜の世界は初めて?」 ひたすら客が質問してるじゃん。 初めてなら緊張してるかもしれないから仕方ないかな? そう思いながら客のグラスを手に取り、ハンカチで水滴を拭き取っていると、タートルネックが口を開いた。 「ううん。今年で10年目」 ……… その時のあたしはきっと相当なマヌケ面だっただろう。 口も目も開いたままで、呼吸をすることすら一瞬を忘れてしまっていた。
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