タートルネックがやってきた

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「…タートルネックちゃん。あのさ、そんな真面目な顔してるとジョーダンって分かんないからさ」 なんとかフォローを入れつつ、あたしは客のグラスを元の位置に戻した。 「冗談なんか言ってない。今年で10年目」 その目は確かに嘘をついてるようには見えない。 「…マジ?」 客二人とあたしはヤツをのぞき込んだ。 「マジだよ。16からやってる」 「「ダメだろ!!」」 「…高校行ってなかったの?」 「行ってた」 「お小遣いなかったの?」 「なかった」 「キャバ嬢に憧れてたの?」 「憧れてた」 「「ぶっ!!」 そのぶっきら棒な受け答えがどうもツボってしまって、全員で吹き出した。 「面白いね、君」 その夜は、店中タートルネックの呼び名がこだました。
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