29人が本棚に入れています
本棚に追加
「じ……じゃあ!高橋さんはどうなんですか??
寂しさ埋めればいいとか、じゃあ私はもうずっとこの関係続けなきゃいけないんですか?将来の話とかそういうのもないんですか?」
「違うでしょ。」
「何が違うんですか?」
「多田さんはそうやってすぐ切り替えできるの?
彼と終わったら次の彼ってそうやって男乗り換えるの?」
「私がそういう女に見えるんですか?」
「見えないよ。見えないからこうして少しずつ距離縮めようとしてんのに……わかんないかなあ。」
わかんないかなあってなに……
私が求めすぎてるの?
私はずっと蚊帳の外で指くわえて高橋さんからの言葉を待ってなきゃいけないの?
私が悪いの…??
浮気されて、心が弱ってる時に支えてくれて、そこから新しい恋って始まるんじゃないの?
「もう…いいです。今日は帰ります。」
なんかもう気持ちの収集がつかない。
自分のことなのに自分が1番よくわからない。
亮太の言葉も、高橋さんの言葉も私をどんどん追い詰めてくる。
私は何がしたいんだろう。
「……わかった。ごめん。」
そうやって、止めることもないんだよね。
何が本気だよ。何が七瀬とは違うだよ。
結局私のこと代役にしたかっただけじゃん。
似てるから、とか勝手に重ねないでよ。私は私なんだから。
帰り道、高橋さんはエントランスまで見送ってくれた。
それでも前とは違い、よそよそしい態度で、じゃあ、また。とそれだけだった。
ひとり寂しく電車に揺られて頭に浮かんだのは、幸せそうな朋子の家庭だった。
最初のコメントを投稿しよう!