過去から今へ

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「ん……」 目覚めると、もう10時を過ぎていて久しぶりにのんびり寝たな…と少しスッキリした気分。 なにか、懐かしい夢をみていた気がするけど どんな夢かは忘れてしまった。 今日は特に予定がないから家でゆっくり掃除でもしようか、と思っている時にスマホが鳴った。 「……はい」 『アキ、やっぱり気持ち、変わらない?』 それは亮太からで、この間謝らないで終わっていたことへの罪悪感がなくなりホッとした。 「あのね、この間はごめんなさい。 よく考えたんだけど、一度私も会って話したいと思った。」 『ほんと?』 「だから、嘘はつかないよ。」 『今日の夕方…とか空いてないよね?俺バイト5時までなんだけど。』 「わかった。前によく行ってた喫茶店でいい?バイト先まで迎えに行くよ。」 『わかった。じゃあまたあとで。』 正直こんな直ぐに話し合う機会が設けられるとは思っていなかったからすごく緊張する。 何を話せばいいかもわからない。 だけど、事は早い方がいいっていうし、 掃除しながら何を話すかゆっくり考えよう。 とりあえず洗濯をしよう…… と、洗濯物を干していると 高橋さんと初めて飲みに行った日に着ていた白シャツが出てきた。 高橋さんがすぐに拭いてくれたおかげでタレのシミは残らなかった。 ……懐かしいな。 たった1ヶ月とすこし前の話なのにとても懐かしく感じる。 その期間はあっという間なのに 思い出はその間に()せていくものだ。 それは全てにおいて同じことで 今までの思い出は全部ただの思い出でしかない。 きっと数年後には忘れていることも多くて、 きっといつまでも忘れないのは 今日の別れのことだろう。
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