過去から今へ

12/15
前へ
/42ページ
次へ
ボーッとしていると、亮太が店の中から出てこちらへ向かってきていた。 こんな時どんな顔で相手を待つべきなのか、 なんだか複雑な気持ちで苦笑いしてしまった。 「ごめんね、お待たせ。暑くなかった?」 「お疲れ様。大丈夫だったよ。」 亮太は相変わらずのトーンでなんだか落ち着いて話せるような気がした。 じゃあ行こうか、と、お互い付かず離れずの距離で喫茶店へ向かう。 ここから徒歩5分もかからない場所にあるお店だ。 「亮太もここのバイト長いよね?」 「うん、まあ、慣れてる仕事だし楽っちゃ楽だからね。」 「そっか、私はバイトしても続かないタイプだったからさ。」 「でも、今の仕事は続いてるじゃん?」 「うん、まあね。」 言われてみれば、今の仕事に不満はなかった。 今までやってきたバイトはどれもブラック臭い場所で、お給料が思っていたより少なかったり、残業の強要だったり。 みんなが普通に我慢して働いているような場所でも 続けているのがアホらしいと辞めてしまうことが多かった。 その度に亮太に愚痴って、新しいバイト探すの手伝ってもらって…… いまの仕事を決める時も亮太に沢山相談して、 ブラック臭い所はないか、とか 私の性格に合ってるか、とか 全部見てくれたからこうして続けられているのかもしれない。 そう思うと本当に亮太には感謝しないといけないなと思った。
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加