29人が本棚に入れています
本棚に追加
ボーッとしていると、亮太が店の中から出てこちらへ向かってきていた。
こんな時どんな顔で相手を待つべきなのか、
なんだか複雑な気持ちで苦笑いしてしまった。
「ごめんね、お待たせ。暑くなかった?」
「お疲れ様。大丈夫だったよ。」
亮太は相変わらずのトーンでなんだか落ち着いて話せるような気がした。
じゃあ行こうか、と、お互い付かず離れずの距離で喫茶店へ向かう。
ここから徒歩5分もかからない場所にあるお店だ。
「亮太もここのバイト長いよね?」
「うん、まあ、慣れてる仕事だし楽っちゃ楽だからね。」
「そっか、私はバイトしても続かないタイプだったからさ。」
「でも、今の仕事は続いてるじゃん?」
「うん、まあね。」
言われてみれば、今の仕事に不満はなかった。
今までやってきたバイトはどれもブラック臭い場所で、お給料が思っていたより少なかったり、残業の強要だったり。
みんなが普通に我慢して働いているような場所でも
続けているのがアホらしいと辞めてしまうことが多かった。
その度に亮太に愚痴って、新しいバイト探すの手伝ってもらって……
いまの仕事を決める時も亮太に沢山相談して、
ブラック臭い所はないか、とか
私の性格に合ってるか、とか
全部見てくれたからこうして続けられているのかもしれない。
そう思うと本当に亮太には感謝しないといけないなと思った。
最初のコメントを投稿しよう!