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朝の満員電車は梅雨の時期独特のモワモワした空気で息苦しくなる。
結露したガラス。
おじさんの鼻息。
こういうのもストレスになって溜まってくんだろうな……
なんだかまた泣きそうになった。
女の子はみんなあるよね。月に一度のネガティブウィーク。
今日はまさにそれ。
今朝の嫌な予感もそのせい。
だから、今日もいつも通り仕事を終えて、いつも通り帰ってくる。
今日は亮太の帰りも早そうだし、久しぶりに電話とかしたいな。なんて淡い期待を胸に職場へ向かう。
「おはようございます。」
職場に着けば隣の席の高橋さんが挨拶してくれる。
「多田さん、おはよう。」
世間一般でいう、まあまあイケメンな高橋さん。
仕事もできて、優しいし、上から目線じゃなくてイヤミも言わない。
こういう人って逆にプライベートがやばいんだろうな。って考えちゃう私はひねくれてる?
「あー、そうだ。多田さんさ明日の予定って空いてる?」
「え?明日ですか??なにか打ち合わせとかありましたっけ?」
「いや?ないけどさ。」
突然、何故かいつも以上にニコニコ優しい顔つきの高橋さん。
「予定という予定はないですよ」
「あ、ほんと?じゃあさ、仕事終わりに一緒に飲みに行こうよ。」
「えっ、それって2人で、ですか?」
「……うん…無理かな?」
これは予想外すぎた。
「いやいや、無理って言うか、私なんかじゃなくてもモテる高橋さんなら一緒に飲む相手選べますよ?」
なんとなく
いたたまれなくなってそれとなく断った。
「ん~……そっか?」
それに対して察した高橋さんは微妙な笑顔で突然変なこと言っちゃってごめんね、なんて謝ってくれた。
高橋さんのことは正直上司としか見ていなかった。
ちょっと見る目、変わっちゃうなあ。
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