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喫茶店で席に着くと、
亮太はメニューも見ずに、俺は決まってるよと言った。
「もしかして、まだクリームソーダ??」
「まだ、ってなんだよ!普通に俺はここのクリームソーダが好きなだけ!」
思い出した。
高校時代、付き合う前からずっとこの喫茶店へ2人で遊びに来て課題をやったりしてた。
いつもクリームソーダを頼む亮太を、子供だねと馬鹿にしていた。
「私はアイスティーで。」
「それも、変わらないね」
「まあね。」
懐かしい。
全部が懐かしい、落ち着く空気。
変に気を使うことも無くて、
馬鹿にし合える。
無理に大人ぶらなくていい、
私は私でいていい。そう思わせてくれる。
「…それで…なんだけど」
「うん。」
なんだか切なく音を立てる気持ち。
「俺は、あの子とは本当に何も無くて…」
「うん。」
「証拠とか…ないんだけどさ、俺あの後よく考えた。アキのこと当たり前に思ってた。ちゃんと見れてなかった。多分、すごい甘えてたんだと思う。本当に申し訳ないって……思った」
「……」
「それで、俺にはやっぱり、アキが必要だって感じた。しばらく連絡なくて、好きな人できたって聞いて、俺めちゃくちゃショックで、めちゃくちゃ泣いた。もう長く付き合ってて、俺は大学もストレートで卒業出来ないくらい今までフラフラしてたけど、ちゃんとしようって思えた。」
「…」
私は無言で運ばれてきたアイスティーの氷をストローでかき混ぜる。
「今まで目標とかなくて、なにをしたらいいかとかわからなかったんだけど、俺の目標は、……アキと結婚すること。それでアキを幸せにすること。」
亮太は私の心をかき混ぜる。
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