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気付かぬうちに百鬼夜行
百鬼夜行という言葉を皆様はご存知だろうか。文字の通り百の鬼という訳ではない。夜に鬼や妖怪と呼称される生き物が多く集まり歩けばそれ即ち百鬼夜行と称される物。
遠い昔は百鬼夜行に遭遇すると死んでしまう、や体調に陰りが出ると言われていた。けれどそれはそういった物が視える物が多かった頃の話。
科学が進んだ現代、それらの事を信じる者は極端に減り百鬼夜行に会ったと言う人は居なくなってしまった。それと同じくして行き場を失くした妖怪達も数を減らしていった。けれど、全く居なくなったかと言えば否である。
貴方の隣に居る人は本当に─
ヒトデスカ?
「ねぇねぇ、君猫耳なんか着けちゃって可愛いねー。俺と一緒に回らない?ダチとはぐれちゃったんだよね」
「にゃっ!?い、良いけど、イカ焼き一緒に探してくれるにゃ?」
「にゃあとかマジ可愛いじゃん。探す探す。じゃあ行こっか」
彼が声を掛けた娘は藍色のシンプルな浴衣を着、柔らかそうな猫っ毛を襟元で綺麗に切り揃えたオレンジ掛かった猫目が可愛い年頃の少女であった。
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