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とても愛嬌の在る顔立ちと頭部に乗せた猫耳のせいで中々お祭りの雑踏の中でも目立っており1人になって退屈していた男の興味を引くには十分であった。可愛い少女の同意を得た男は上機嫌で祭りの喧騒の中へ少女を伴い紛れていった。
別の場所でも──
「ねぇ、君。さっきからキョロキョロしてるけど迷子?お姉さんが一緒に探してあげよっか?」
「わぅっ!!!?」
「ヤダ、この子かわいいー。誰探してるのぉ?お母さん?」
「あぅ、ひ…ねぇねを…」
女が喧騒の中見つけたのは心細気に、もしあればしょんぼりと尻尾を垂らしていそうな少年であった。浅葱色の甚平を纏い黒の癖っ毛で所々跳ねた髪をした少年は頻りに辺りを見回していた為これまた目立っていた。
「ねぇね?あぁ、おねーさん?一緒に探してあげるぅ。1人じゃ踏まれちゃうよぉ?」
「踏まれるのはヤです!」
縋るように言ってくる少年の可愛さに女のまだ未発達であった母性は刺激されまくり無事姉に会わせてやらなければ!と意気込み女もまた喧騒の中へと入って行った。
「お狐様見て見てタピオカ抹茶ミルクだってー」
「最近は何にでもタピオカとやらが入るの」
「ねー。お狐様達も飲むでしょ?買って来るね!」
とある一角では藍色の浴衣に大輪の芙蓉を刺繍した物を顔負けする事なく着こなした美少女と、それを見守る銀の髪に着流し姿の美青年と妖艶な色香を放つ黒地に紫の桜の刺繍を施した着物を婀娜に着崩した美女が一際人目を引いていた。
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