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とこんな感じである。歩いていれば見つけられるだろうと歩いているが見つけたのはまだ19時になったばかりだと言うのに店じまいを始めていたタピオカ屋くらいであった。
と思いきや突然握っていた男の子が女性の手を振りほどいてしまった。あ、と思った時には走り出しており喧騒に紛れていってしまった。
「えー、見つけたのー?危ないよぉ?」
慌てて少年を追うも小さな体はあっという間に紛れてしまい女性が再度出会う事はなかった。
「わんっ!」
「あ、狗神ー。着いて来ちゃったの?人多いから嫌って言ってたじゃーん」
「くぅーん」
輝夜は突然の呼び止める犬の声に振り返った。そこに居たのは黒の子犬であり尻尾を盛大に振って駆け寄ってきたのを抱き上げてやった。抱き上げられた子犬は飼い主に会えたかのように尻尾を振り少女へと甘えた。
「まぁ良いんだけどさー。狗神も一緒に回ろっか」
赦しを得た子犬は降ろしてもらうと人の姿へと身を転じた。
「人の子の匂いがするが誰ぞを怖がらせはしなかったかえ?」
「手を繋いでもらったです」
「おお、良かったねー!」
現代では視える者は少なく視えたからと言って優しくしてくれる訳ではない。今回は偶々波長が合い視えた者がそれと知らず人の子供のように優しくしてくれたのだろうと察した女は特にそれには触れず輝夜の後を追った。
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