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さっぱりワケがわからないんだけど、この男もさっぱりワケがわかんない顔して何度も頭をボリボリかいてる。
「で、あなた誰?」
「にわか探偵かつあんたの逃げた彼氏の相方」
「で、あなた誰?」
「だーから!一昨日探偵のバイト始めたばっかのお前の彼氏の相方ノワキ」
「ノワキ?誰?ノワキのワキのノワキの…え、誰?」
「人の名前で遊ぶな。...で!そういうことだから」
「だから!その『そういうこと』がわかんないのよ!あぁくっさい!!」
アタシは咄嗟に無数の臭い靴下を払いどけようとした。
すると、そのノダケとやらなんやらが、
「あ、ダメダメ!まとめるな!ヤツの逃亡先がわかんなくなるじゃんか」
と食い気味に責められ、阻止された。
「え?どういうこと?逃亡先って」
さっぱりわかんない。
とにかくまずこのド臭い靴下供をゴミ箱へ捨てたい!
ティッシュアタシにもちょうだい!!詰める!!
「あんたさー、昨日彼氏とここで激しい喧嘩したの覚えてねーの?」
ティッシュを2回抜き出してこっちに渡しながらノヤミがそう言った。
「ふえ?」
「その鼻栓...どう見ても鼻輪じゃね?」
「引っ張んのやめてよ?」
「そういう趣味全然ねえし」
まるで覚えていない...。
っていうか、昔からイヤなことはすぐ忘れるよう暮らしてきた人生26年目突入の夜だったん だ。
「どうせ浮気か三角関係かなんかだったんだろ?揉めた内容なんてさー」
「それすら覚えてない」
「ニャンだとー!!あ、ごめん、昨日の仕事ペットショップで猫探しだったから」
「どうでもいいわっ!で、なんであなた、えっと…ノ…」
「ノワキね、ノワキ」
「そのノワキが何故今ここにいるの?!」
「起き抜けでもう呼び捨てか!待て待て。この流れで勘違いして俺のことを『夜這い探偵ノワキ!シャキーン!』とか命名するなよ?」
「シャキーンてなに?あ、ジャジャーン!みたいなモノか」
「ヤバイ男さノワッキー、夜這い探偵ノワッキー」
酷い音痴。鐘1つも叩けない。オマイガ酷すぎる。
場合によっちゃ『夜這い探偵ノワキ』で拡散してやろうかとは一瞬思った。
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