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「電話して来て依頼したのはそっちじゃん。こっち猫の毛玉が喉に絡まってウエウエしてたのに、どうでもいい!依頼者の言うことすぐ聞け!今から特急列車乗り継いで来い!つって。夜中の2時30分頃に特急列車日本じゃなかなか走ってないからね!」
「そんなこと言ったの?アタシ…。全然覚えてない」
「だろうな、さっき10分前くらいにここ来たら家の鍵は開いたまま。部屋入って寝室のドア開けたんだよ。そしたら史上最強に臭いじゃん!臭すぎて部屋に靄できるって凄くね?さっきまで匍匐前進してたからね、俺。で、あんたベッドで豪寝だよ?しっかも超寝苦しい顔して。ベッドに無数の臭い靴下置いたまま。もう吐きそうだったよ。で、そろそろ台所の換気扇だけじゃなくってさ、こっちの部屋の窓、開けていいか?」
「え、これって…、まさかまさかの通報されるレベル臭じゃない?」
「これであんたの性癖世間にバレバレ。終わりましたな」
「やめてやめてやめて!恥ずかしいからやめて!」
「おーい、今は羞恥心より臭すぎて捕まること心配しろ」
「ドンマイ...アタシなら我慢でき...る!」
「涙目で言うことか」
「タイタニック思い出せ...私は生きる!私は生きる!」
「俺は悪臭の海に溺れて死んだっていいのかよ?もう早く調べろよ!!」
「探偵じゃん!そっちが調べてよ、ノザワさん!」
「ノワキだわっ!!」
「今そこどうだっていいことじゃない!!」
「逆ギレすんな!あんた、電話口で『アタシの嗅覚は半端ないのよ!』って言ったじゃねえか」
はひ?いつ?どこで?誰が?なにを?
嗅覚は半端ないってどゆこと??
「『今まで取っては捨ててきた男全員の別れ際に剥ぎまくった靴下。アタシにこの部屋で支配された元彼の臭い。後生大事に集めてるんだから!』つって、思い出の品だかなんだか、俺にはただの変態収集家にしか思えなかったけど、あんたストックバッグに密閉した汚え靴下、マジシャンのようにあれよあれよと…まぁ電話だったからこっからは想像だけど、多分BGMはポール・モーリア『オリーブの首飾り』よろしく!状態で引っ張り出してきたんだぞこら?っ!」
あ。それが、これ?
え。そんな収集癖あったっけ?アタシに。覚えてない。
マジですか...。
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