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「ねえ、これを頼りに、お願い!彼を探して!!」
アタシは潤んだ瞳に、バラとか百合とか大輪に囲まれたそれは美しき女マリー・アントワネットよろしく顔でノダカに懇願していた。
「この恋は『マジ』と書いて本気だったのよ…」
「せめて書くなら『本気』の上にルビで『マジ』って打てな、読めねえから」
「あぁお願いよ、ノスカル!!」
「ノスカルどこの誰じゃ?ここへ呼んでこいや!オルァーッ!!」
「夜明け大声出さないで!臭うから!臭うから!」
「うるせっ!俺、ノスカルでも参謀でも警察犬でもねーし。そこまでわかったんなら自分で探せば?もう俺、帰るわ」
そう言ってノザキは腰を屈めながらティシュ鼻栓を抜き取り、匍匐前進で立ち去ろうとした。
「待って!待って!この愛は永遠なの!!だからこそ、相方のノガミさんじゃなきゃダメなの!!」
「おい、ここの文面来るまでにあんた何回ノワキ言い間違ったんだ?!本気の頼みなら俺の苗字ちゃんと覚えてから頼めや!この最上スメゲス女がー!!」
げっ、略語が増えてる!!
えっと、それって『最上のスメルゲスト男性全員靴下脱がすフェチ女』って意味?
まさかまさかのそれ、本日最高の誉め言葉?
「何急にポッと赤くなってんだよ?血圧下がって心臓バクバクか?臭い密室で恥じらってんじゃねーよ!」
「いいの、放っておいて、そこはツッコミ不要の乙女心只今炸裂中」
「んじゃお言葉に甘えて永遠に放置するわ」
「いやダメ!待って待って!お願い!!とにかく彼を探して欲しい!」
ベッドから立ち上がり、そりゃもうありったけ頭下げて土下座して。
ついでに彼のももらっとこうかな、案外イケメンだし…と靴下の端引っ張ったり、いろんなことをしてみたけれど、彼はオッケーとは言ってくれずで、しばらく言い合いを続けた。
でももう流石に面倒臭くなってきたのだろう、私も。
すくっと立ち上がり、
「わかりましたー!一人で頑張ります!」
と、勢いよく叫んでしまったその時。
もう一度アタシは目覚めた。
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