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「じゃあ、電気消しますよ」
部屋の端と端に布団を引き離して、間に座卓を置いて。
彼は上着を脱いでネクタイを外しただけで。
私は後ろを向いてもらって浴衣に着替えて。
昔ながらの天井から下がった蛍光灯の傘の紐に手を伸ばすと、彼が布団の中から言った。
「俺、真っ暗は嫌なんだけど」
「……じゃ、小さいの点けます」
紐を一度引いて淡い常夜灯にして布団に入った。
「それじゃ、おやすみなさい。ありがとうございました。今日は」
「……おやすみ」
建物は古そうだけれど、シーツは清潔でいい匂いがする。
目を閉じたらすぐにも眠れそうだけど、彼は違うんだろうな、と考えた。
何でもすごく考えて、他人のことも気にして。
普段から職場でもあんなだったら、生きてるだけで私の何倍も疲れていそうだ。
……などと考えていると
「あのさ」
と声がした。
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