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確かに、半分といえば半分だったけれど。
部屋に通されて、宿の人が下がるとその人は大きな溜息をついて、がっくりと座卓に上半身を突っ伏した。
「……大丈夫ですか?」
「……ごめん」
あの自販機の少し先で駅からの道を逸れてからは、どんどん道が細く暗くなり、最後はそれぞれのスマホの明かりで石段を照らして上って……やっと辿り着いたと思ったら車が通れる別のルートがあったということを宿の人に聞いて。
「……申し訳なかった」
「でも車の方の道だと遠回りって言ってたし、あの道で良かったんですよ。それ以前に私は地図苦手なので、ここに着けただけで」
顔を伏せたまま、彼は言った。
「……一緒に乗り過ごしたのが君でとても救われてる」
「それは、言葉通りでいいんでしょうか」
「嫌味じゃないよ……ああ、そうだ」
彼は思い出したように顔を上げた。
「さっきのお茶」
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