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結局、駅からゆうに三十分以上は歩いて今は午前2時を回っている。
仲居さんがお茶を淹れてくれる時間でもなく、部屋に備え付けの冷蔵庫は空っぽだったので、何でも買っておこうというこの人の判断は正しかった。
私はお茶を、彼はコーヒーを飲んでひと息つくと、少しの沈黙のあとに彼が口を開いた。
「そういえば、ここに来るまで考える余裕も無かったけど、君いつもあんな遅い電車乗ってるの?」
「いえ、今日はたまたま学生の時の友達と飲み会があって、あたしは飲めないのでお酒は飲んでなかったんですけど、どうせ明日休みだからって居酒屋二軒とカラオケ行った帰りだったので……ちょっと無理し過ぎましたね」
「次からは気を付けなよ」
「……スマホのアラームつけたり」
「そういうことじゃなく、それもそうだけど。若い女の子が……終電間際なんてどんな奴と乗り合わせるか分からないんだから、そういう意味」
「なら、今日は運が良かったです」
彼は答えずに眉を寄せ、私は言った。
「そちらは?やっぱり飲み会とかですか?」
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