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見たところ冷静で酔ってるようには見えないけれど、話すとお酒の匂いがした。
「……まあ、そんなとこだね」
何かその言い方には含みがあったけど、あまり追及されたそうな感じではなかった。
「とりあえず、ここまでありがとうございました。駅のベンチじゃなくてお布団で寝られることになって有り難いです」
頭を下げたら、それはそれでなぜか苦々しい顔をされた。
「……怒ってます?」
「いいえ。どういたしまして。……じゃ、同室で悪いけど、そっちとこっちに引き離して間にこの座卓置けばだいぶ違うでしょ」
と、彼が指すのは部屋の長い方の辺の端と端。
「あの、動かすの大変だし、そんなにびったりくっついてなければ」
「俺が気になるから。……俺、同性でも誰かと同じ部屋で寝るの嫌な方」
なんか、分かる気がする。
「君、全然平気な方でしょ」
「サークルの合宿で雑魚寝とかも、全く問題なく」
「俺、そういうのホント嫌だった。人前でパジャマに着替えたりとかも嫌で、普通に服着て寝てた」
「それは、例えば彼女さんとかでも?」
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