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「……ナメてましたね。終着駅ってものを」
改札を出て、わずか五分後くらいの彼の言葉だ。
「すぐ近くには何も無いです。商店らしきものはありますけどコンビニじゃないから夜は閉まってるでしょうし」
溜息をつきながら見せてくれたスマホの画面には、確かに何のマークも無い。けど
「この、端っこの方に何かあるのは」
液晶の隅を私が指すと、彼は頷く。
「民宿ですね。歩いて、二、三キロってとこです。ただ、この時間だから先に電話して確認しておかないと歩き損ってことにもなりかねませんね」
スマホのデジタル時計は1時15分。
地図から素早く電話番号を出して彼は言った。
「僕がかけます」
「……すいません」
周りが静かなので、スピーカーにしなくても音が聞こえる。
一回、二回、三回鳴った時
「はい」
と、拍子抜けするくらい普通に、おばさんの声が出た。
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