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「先日、優悟がようやく本社に入ってくれました」
お母様は特に表情を変えることなく、静かに話し始めた。
「はい」
「そして、あなたとの将来を考えているとも聞きました。あなたも同じ気持ちでいいのかしら?」
「はい」
優悟君が話していてくれたことが、嬉しかったし私自身もう迷う事はなかった。
真っすぐ見つめ返した私に、お母様が先に視線を逸らした。
「そう……。でもこれは?」
そして横に置いてあった封筒を、私の目の前に置いた。
何かわからず私はそっとその封筒を手にして、ゆっくりと中を確認する。
「なんですか……?これ」
驚いて、封筒の中身をまたもどすと、私はお母様に尋ねた。
そう、その中には水田先輩に抱きしめられている私の写真があった。
「これだけではないわよね?5年前の事も……」
お母様は5年前の写真も見たという事が解り、日名子さんがこの写真も撮らせたことが容易に想像ができた。
静かに息を吐いてその封筒をテーブルの上に置くと、私はお母様に真剣なまなざしを向けた。
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