17248人が本棚に入れています
本棚に追加
「沙耶、大丈夫か?」
心配そうにゆっくりと歩いてくる優悟君に、私は少し微笑んで見せる。
「日名子」
ゆっくりと優悟君に名前を呼ばれた、日名子さんはギュと唇をかみしめた。
「なによ!お兄様が悪いのよ。そんな女に騙されるから」
「日名子!これ以上俺に何か言わすつもりか!」
声を荒げた優悟君に、ビクっと肩を震わすと日名子さんは動きを止めた。
「お前は俺と沙耶に、どれだけ責められても仕方のない事をしたんだぞ。お前は俺と沙耶の5年の日々を……」
「優悟君!」
その言葉を私は止めると、ゆっくりと優悟君の前に歩み出た。
「優悟君、もうやめて」
「沙耶……。でも……」
納得のいかないような優悟君を止めると、私は日名子さんの前へと近づいた。
最初のコメントを投稿しよう!