17248人が本棚に入れています
本棚に追加
「あなたのしたことを、私は許すことはできません。でも、あなたの気持ちはきっと誰よりもわかります。私はもう2度と彼と離れることはしないし、どんなことをされても信じています。だから、ごめんなさい。彼はあなたには譲れません」
真っすぐに言った私の言葉に、日名子さんの瞳が少し揺れたように見えた。
「お兄様、ごめんなさい……」
小さくそれだけ言うと、日名子さんは部屋を出ていった。
「沙耶さん。すまなかったね」
その様子を見ていたのだろう、ラフな格好をした初老の男性がゆっくりと部屋に入ってきた
その人が、いつも遠くでみる社長だと分かり、私は慌てて頭を下げた。
「ここは会社ではないし、もう隠居の身だから」
優しく笑う顔はやはり優悟君に似ているような気がした。
最初のコメントを投稿しよう!