試される愛

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「あなたのしたことを、私は許すことはできません。でも、あなたの気持ちはきっと誰よりもわかります。私はもう2度と彼と離れることはしないし、どんなことをされても信じています。だから、ごめんなさい。彼はあなたには譲れません」 真っすぐに言った私の言葉に、日名子さんの瞳が少し揺れたように見えた。 「お兄様、ごめんなさい……」 小さくそれだけ言うと、日名子さんは部屋を出ていった。 「沙耶さん。すまなかったね」 その様子を見ていたのだろう、ラフな格好をした初老の男性がゆっくりと部屋に入ってきた その人が、いつも遠くでみる社長だと分かり、私は慌てて頭を下げた。 「ここは会社ではないし、もう隠居の身だから」 優しく笑う顔はやはり優悟君に似ているような気がした。
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