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「十和子。私が優悟に言われてすべて調べたよ。沙耶さんは、何の問題もないお嬢さんだ。5年前のこともすべてでまかせだった」
社長の言葉に、お母様の顔色が変わった。
「そうなの?え?沙耶さん、ごめんなさい」
「沙耶、母は本当に世間知らずで……日名子の事も可愛がっていて……そんな日名子の言葉だから信じたんだと思う」
小声で言ったその言葉に、私は小さく頷いた。
「日名子さんにも誰かがそういう嘘をいったのでしょうね。わかっていただけたら良かったです」
日名子さんをかばうのは嫌だったが、このお母様を傷つけるのも、本意ではなかった私は、そういって微笑んだ。
お母様はホッとしたようにもう一度「ごめんなさいね」と頭を下げた。
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