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「沙耶、いきなりこんなことになって本当に悪かった」
「いいよ。お母様にも誤解がとけて良かった」
素直に言った私に、優悟君は私の顔を覗き込んだ。
「悪い人ではないんだ。良くも悪くも世間知らずで……ごめん」
真剣に謝罪する優悟君に、私は首を振った。
「お母様も優悟君を思っての事でしょ?」
その言葉に、優悟君は「ありがとう」とホッとした笑顔を見せてくれる。
「それに日名子のことも、良かったのか?」
思い出したのか、優悟君は少し複雑な表情をした。
「そうだね……本当は優悟君にしたみたいに、平手打ちぐらいしたいところだけど」
クスリと笑った私に、優悟君は神妙な顔をした。
「でも、ただ日名子さんは優悟君が好きなだけでしょ?少し表現を間違えたんだろうけど」
私の問いに、優悟君は驚いたような顔をした後、少し考えこんだ。
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