甘い罠を何度でも

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かわいい……。 まだ1時間は眠れるだろう寝ぼけている優悟君を、もう一度寝かしつけて私はそっと寝室を出た。 優悟君はこれまで貯金もしていたしと、かなり広いマンションを借りた。 2人の寝室のほかにも、私の部屋まで用意してくれている。 私は自分の部屋で着替えて、化粧をすると急いで朝食の準備をする。 私はそれほど遅くならないが、優悟君は最近本当に忙しそうだ。 朝食ぐらいきちんとしたものを食べて欲しい。 そう思い、私はお味噌汁を作りながら、鮭の西京焼きをグリルに入れる。 お味噌汁は私は具沢山が大好きで、野菜も豆腐もわかめも栄養が取れそうなものをこれでもかと入れる。 「いれすぎたかな……」 鍋の中を見ていると、後ろから温かさに包まれる。 「沙耶、おはよう」 「おはよう」 リップ音を立てて、私にキスを落とすと、「あっ、みそ汁の味」と嬉しそうに優悟君は笑った。 「早く顔をあらってきてね」 その言葉に、優悟君は「ああ」と笑顔を向けてくれる。 こんな幸せがくるなんて、あの頃は考えてもいなかった。 もう一度、恋をして人を好きになることができて、本当に良かったと思う。
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