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佐伯部長が絡むと結局私情が入りまっくてる?
自問自答しながら、目の使い過ぎが軽く痛む頭を感じながら、つい言葉は零れ落ちる。
「だって仕事ができないんて思われなくないし、認められたいじゃない……」
あの頃みたいな子供じゃないって思われなきゃ……
最後は言葉になっていなかったと思う。
デスクに顔を埋めて呟くように言っても、誰もいないフロアで返事なんてあるはずもない。
あるはずもなかったのに……。
「どうして?」
後ろから聞こえた、忘れたい声がして、「え!」と声を上げて私は慌てて顔を上げて立ち上がると、目の前が真っ白になった。
やばい!倒れる!
そう思ったと同時に、ふわりと記憶に残る香りに包まれた。
甘い中にも、すこしエキゾチックな香り。近くに寄らないとわからないほど、仄かにあの頃からつけていた香水が私を包む。
その状況を理解するのに、時間はかからず、細く見えるのに、意外と筋肉質でがっちりとした腕に支えられていた。
180㎝ある佐伯部長の肩に、私は頭を埋めるような形になり慌てて離れようと体を動かす。
「あほか!まだ動くな!」
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