甘い罠を何度でも

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「うわー、だいちゃん久しぶり!大人になってわからなかった!」 あの頃とは違う、ガチッとした体格に、海の街にいるせいか、真っ黒に日焼けしているその人は、昔の面影がほとんどといっていいほどなかった。 「沙耶はすぐにわかったぞ」 豪快に笑うその人につられて私も声を上げた。 「なにそれ、変わっていないってこと?」 こんなやり取りも久しぶりだ。 「どうした?ずっと帰ってきてないっておばさん言ってたけど」 酒屋の軽トラックの横に乗せてもらい、私は窓の外の景色をみていた。 「べつにどうもしないよ。たまには帰らないとと思って」 本当は優悟君とのことを、一応報告しておこうと思っていた。
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