ほろ苦い恋は甘さとともに side

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一般的な一人暮らしのマンション。築年数はそれほど新しくはないが、オートロックは家族の絶対的な条件だったらしい。 「杏子、ほら鍵出せよ!」 「うーん」 寝ぼけ眼で鍵を出して、俺にそれを渡す杏子。 オートロックを開け、エレベーターに乗り込んで大きく息を吐く。 機械音がやけに大きく聞こえるな、そう思っていると“6”という数字と、ポンという小さな音と一緒にドアが開いた。 「降りるぞ!」 子供に言うように支えながら、聞いていた号室を目指す。そして、鍵をあけて電気をつけて、部屋へと足を踏み入れた。 「おい、杏子!!大丈夫か?」 「うん……」 本能的に自分の部屋がわかるのか、家に入ろうとした杏子だったが、玄関の段差に足を取られて転びそうになる。
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