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「杏子!」
支えようと思った俺だったが、自分も足を取られて一緒に転んでしまう。
なんとか自分が下で、杏子を守れたことに安堵した。
「大丈夫か? お前飲みすぎ。今日は泊ってやるから、早く寝ろよ」
小さいと言っても大人一人の体重を支えた俺は、ため息交じりに髪をかきあげる。
夏前とはいえ酔っぱらいを介抱して、汗が額に滲んだ。
「もう大丈夫、帰って」
はっきりとした口調の杏子に、俺は杏子の顔を見あげる。そこには唇を噛んで、自嘲気味にも見える表情を浮かべた杏子がいた。
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