出会い系に御用心

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麗華は年齢的にはアラカンなのだがパッと見がアラサーだった。ネットの出会い系でかなり年下の若い男と知りあいデートにこぎつけた。彫りが深くハーフイケメン風貌に魅せられ、夕食の後に即ホテルへ直行してしまった。気持ちはハイになり友達からも益々若返ったと言われ、少し有頂天になっていた。毎日ウキウキワクワクでまだ慣れないスマホの彼からの連絡チェックを何度もしていた。遂に次のデート連絡がきて、思わず万歳をしてしまった。高原の小洒落たレストランでランチを済ませ、展望台まで行ってみようと言われ、秋晴れの爽やかな風に吹かれて、年齢からすると親子なのに恋人同士気分に浸り彼の腕を組みながら再び車中に戻り、少し山道を下った所で「外で煙草吸って良い?」と聞かれ、彼が車を降りたので麗華も一緒に外に出て再び深呼吸して、少し彼と離れていたら、彼はタバコを吸わずに車に飛込み発車させて、この厚化粧で顔の皺を平らに埋めて若い女を装う初老の女を置き去りにして猛スピードで消えて行く車を唖然としたまま見送り立ち尽くしたまま、ここは姨捨山だったのかと終いには腹がよじれるほど笑えてきて、同時に涙を流し、悲しいのか可笑しいのかわからなくなった。スマホ圏外に愕然となりながら一人彷徨い歩きペットボトルもなく、自販機なんてありゃしないフラフラになりながら何時間歩いたのか足も動かなくなり気を失った。目を覚ましたらベッドの中にいたが、腕は点滴に繋がれていた。壁紙の模様で病院ではないようだった。起き上がろうとした時にノックする音の後に白髪のイケメンが「気が付きましたか?」と心配そうに声をかけた。「御親切にありがとうございます。ここは何処ですか?」「初めまして。悟と言います。ここは私の別荘なんです。貴女が敷地内で倒れていましたので、お連れしました。私は内科医です。暑さで脱水症状でしたから点滴をしました。もう大丈夫でしょう。しかし、バスも通っていないのに歩いてきたのですか?」麗華は「ごめんなさい。明日お話しても宜しいですか?疲れてしまって。」とまた深い眠りに就いたが、これは夢の中なんだと思いながら朝を迎えた。そして、置き去りにした男を忘れることにした。朝陽が眩しかった。またノックの音が聞こえた。「入って宜しいですか?」「はい、どうぞ。」爽やかな声で朝の挨拶をされ、庭で朝食をと誘われた。
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