出会い系に御用心

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ナイス悟が手作りの朝食を高原の柔らかな風に包まれながら、ウッカリまた恋しそうな気持ちを抑えきれなかった。彼は妻が他界し一人寂しい生活を送っていると、身の上話をしながら、麗華のマンションまで車で送り、これからも会うことを約束し、彼女が何故倒れていたかは聞こうとしなかった。わりと早い時期に次回デートのメールが入った。ホテルでの食事に心が踊った。やはり若い男なんかより私には白髪お似合いかもと、遂にその日が来て迎えの車の助手席にワクワク感を隠し、少し地味目の落ち着いたワンピースでステキなランチを目の当たりに心はもうゴールインしていた。ところがデザートを食べながらコーヒーを飲み始めたところで彼は病院から電話が入り、「ごめんなさい。病状急変の患者さんが居て、病院へ今から行かなければならないんです。もし宜しければ待っていて下さるかな?」と客室のカードキーを渡され、心中ヤッタア!と爆発させながら、必死になりそれを隠しながら、少しハニカミながら、小さな声で「はい。」と返事をした。彼は急いで支払いを済ませて出て行った。麗華は、さてとボディケアでもしようかなとレストランを出て、美容室のあるフロアへ向かった。突然若い女性に声をかけられた。「あのう、バイトしませんか?10万お支払いしますから、私の代わりに花嫁になっていただけませんか?私迷っていて、もう一人好きな人居て、直感でその人の方が幸せになれそうな気がしてきて、これから美容室でウェディングドレスを着て花嫁になるんですが、貴女は私と体型似てるからやって下さいませんか?」とそんな事出来るわけないと思いながら右手はゲンナマを掴み、親族は居ないから二人だけだからと引き受けてしまった。美容室に入り、花嫁本人ではないのに何も言われずにメイクに真っ白なウェディングドレスを着てベールで顔を隠し、ホテル内の教会へと案内された。誓いの言葉が終わり誓いのキスをしようとベールを花婿が外し、年老いたガッツリメイクを見た途端に「ギャー!」と叫び逃げ去った。花婿は麗華を置き去りにした若い男だった。取り残された花嫁は神父様に「気になさらないで、私バイトなんです。」と厳かに立ち去り「あの男何処かで会ったかな?」と呟きながら教会を後にして美容室にドレスを返し、ホテルのベッドで休んで居たら彼が静かに入って来て二人の熱い夜が始まった。
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