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わたしは玄樹が好きだった。
本気で好きだった。
本当は一番になりたかったのに、自分に嘘を吐いてきた。
けれどそんなのは今更だ。
素直になれない者の色には不純物が多くて混ざり合った色によって濁り、澱む。
でも素直な者の色は澄んでいて、どんな色を挿されても、穢れない。
玄樹は朱莉の為に、朱莉を生涯堂々と一番に愛する為に仕事、家庭を犠牲にして人生を掛けた。
玄樹は朱莉との愛を貫いて、朱莉もその愛に呼応した。
玄樹をそこまでさせる力を持っていなかったわたしは、文字通り負けたのだ。
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