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足をかけると、今にも崩れ落ちそうにギシギシと鳴る安アパートの外階段を、俺はゆっくりと登り、しばらく待った。
ようやく源がやってきた。手にはスーパーの袋がぶら下がっている。
狭い玄関には、スニーカーが脱ぎっぱなしのまま転がっていた。
「相変わらずだな。靴ぐらい揃えろよ」
「ははは。遅かったな。待ってたぞ」
学生時代から住み続けている六畳一間の安アパートの部屋は、あの頃から全く変わっていない。日に焼けて薄茶色に変色した畳に、色がバラバラのカラーボックス。安物のパイプベッドの下には、プラスチック製の収納ボックスとさまざまなジャンルの雑誌。長押には洋服が無造作にぶら下がっている。
学生時代は、ここによく三人集まってはつまらない講義の愚痴を吐いたり、新しいゲームを持ち寄っては徹夜で遊んだりしたものだ。
「ほら、酒、買ってきたぞ」
大体いつも飲み物や食べ物を調達してくるのは源だ。
「ああ、悪い。グラス、グラスっと」
陽太が、百円ショップで買ったグラスを三つテーブルに乗せると、缶ビールを開けてそれぞれのグラスに注いだ。
「じゃ、今夜も飲むか」
グラスをコツっと合わせると一気に空けた。
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