夢のような目覚め

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目が覚めるとそこには・・・・・・。 うす茶色のブロックのような物が、無造作に積まれていた。 なんだろう? よくよく見てみる。 と、それはいわゆる、札束と呼ばれている物だった。 はじめて見る。こんな塊で。 しかしなぜ・・・・・・? 状況が理解できない。 一度目を瞑り、半目になって、ゆっくりと頭を上げてみる。 それから再び、目を大きく広げてみた。 やっぱり、ある。沢山ある。札束が。 尋常ではない程、ありまくる! 見渡す限り、部屋中、どこもかしこも、という感じである。 やがて、自分が布団ではなく、札束に埋もれて眠っていた事にも気がついた。 一体、これはどういう事なのか。 まだ夢から覚めていないような感覚だ。 訳が分からなくなりながらも、嫌ではない。 いや、嬉しい。 でもなぜ・・・・・・? と思うとちょっと怖いが、やっぱり嬉しい。 やがてはっきり目が覚めてくると、いよいよ歓喜に沸き立つ心! これはどうにも、止めようが無い! しかしそれでも、人並みに疑う心もなくしていない。 透かしは入っているか、ホログラムはきちんとついているか。 ナンバーは一枚一枚違っているか。手触りも。ちゃんと調べた。 結果、すべてクリアーしている! これは本物だ! やった! なぜこんな大金がここにあるのかなんて、そんな細かい事はもうどうでも良い! とにかく自分に今、すさまじい幸運が訪れているのだ!! これは確かな事なのだと、その一束を握り締めて実感する。 これでもう、一生お金の心配はないのだ! 「やったぁぁ!」 口に出して叫んでみる。 そして札束を掻き分けて飛び起きると、寝室を出た。 そこでまた驚いた。 フローリングだったはずの廊下一面に、整然と札束が並んでいるのだ。 札束の床だ! 上に透明の樹脂が被せられており、ちゃんと歩けるようになっている。 「ほっほー!」 ハイテンションで短い廊下を抜け、リビングに入る。 リビングの床も札束仕様だ! 「やっほー!!」 私はガッツポーズを決めた。 朝食を摂ることなど、すっかり忘れてしまった。
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