恋が始まる瞬間

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「ミンジュンさん、違うんです。私が皇子様に、寝てばかりで退屈だから外の空気が吸いたい、陽射しが浴びたいって言ったので、皇子様が助けてくれたお礼にって外に連れ出してくれたんです。 それに皇子様はボクシム先生やミランさんが心配するから早く帰ろうとおっしゃったのですが、あまりにも綺麗な景色だったので、私がもう少しだけ見ていたいとわがままを言ってしまって…。 そしたら急に雨が降ってきてしまって、雨が止むまで待っていたら帰ってくるのが遅くなってしまいました。外出も遅くなってしまったのも全部私のわがままが原因で。ほんとご心配お掛けしましてすみません」 そしてミンジュンさんに向かって静かに頭を下げた。 「あー、そうでしたか。ですが、やっと動けるようになったのですから無理はしないでくださいね。心配ですから」 「はい。ほんとにすみません」 私は肩をすくめて小さく頷いた。 私の話を聞いていつもの表情に戻ったミンジュンさんは、ヨンウォン皇子の方を向き、 「ヨンウォン、実桜どのの身体を心配しすぎるあまり、少し感情的になってしまったみたいで申し訳ない」 と、片手を後頭部に添えながら謝った。 「いや、私こそまだ完全に身体が治っていない実桜を連れ出したりして悪かった」 皇子も左右に首を振りながら申し訳なさそうに謝っていた。 私は話題を変えるように笑顔でミンジュンさんに話しかけた。 「ミンジュンさん、私初めて馬に乗ったんです。もう、ほんとに怖くて死ぬかと思いました」 「そうでしたか。ヨンウォンは馬を走らせるのが好きですからね。でもゆっくりだと全然怖くありませんよ。今度は私が実桜どのをゆっくりとした馬にお乗せしますよ」 そう言ってミンジュンさんはニッコリと微笑む。 「いやー、もう馬はいいです。絶対に絶対にもういいです」 私は顔を引きつらせながら首を素早く横に振った。 そんな私を見てミンジュンさんは、 「そうですか? そんなに怖がらなくても全然大丈夫ですよ」 いつものように穏やかな表情で楽しそうに笑っていた。
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