誕生日のプレゼント

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「こ、これをボクシム先生が私に?」 「はい、そうです。お誕生日の贈り物だそうです。ボクシム先生が直接お渡ししたかったそうなのですが、どうしても外せない用事が入ってしまったそうで。それとボクシム先生からのご伝言で、この書物は贈り物ですので返却はよいそうです」 「ああ、わかった。この書物は以前からとても読んでみたかった書物なのだ。帰ったらボクシム先生に私がとても喜んでいたとお礼を伝えておいてくれぬか」 ヨンウォン皇子は嬉しくてたまらない様子で、いつも冷静な皇子とはまるで別人のように頬を高揚させ、興奮気味に言った。 「分かりました。ボクシム先生に皇子様がとても喜んでいらっしゃったとお伝えしておきますね」 「ああ。また改めてボクシム先生にはきちんとお礼に伺うつもりだ」 「はい。それもお伝えしておきます」 皇子は手にした書物のページをめくり、嬉しそうに眺めている。 (帰って先生に報告してあげなきゃ) (ボクシム先生、喜ぶだろうな) 皇子のとても嬉しそうな顔を見て、私もほっこりとした気持ちになっていた。 「それでは皇子様、私はこれで失礼します。こっちに歩いたら門に行けますよね?」 ヨンウォン皇子への贈り物を届け終わった私は、ソンヨルさんと一緒に歩いてきた方向を指さして皇子に尋ねた。 皇子は書物から視線を外し、びっくりしたように私の方を見つめた。 「あ、ああ、そうだが。も、もう帰るのか?」 「はい。ボクシム先生からの贈り物もお渡ししましたし」 「み、実桜…、今ちょうど珍しい菓子が届いているのだ。せっかく届けてくれたのだから少し食べていかぬか?」 「でも…。今日はお誕生日ですし、皇子様お忙しいのではないですか?」 「そ、そんなことはない。すぐに茶を用意するゆえ、少しゆっくりしていくがいい」 そう言ってヨンウォン皇子は少しぎこちない笑みを浮かべると、私の手首をさっと掴み、部屋の中へと招いてくれた。 いつも堂々としているヨンウォン皇子が、なんか今日は少し余裕がなさそうに見える。 (ボクシム先生からの書物、そんなにうれしかったんだ) 私はいつもと違う皇子の姿にますますほっこりとした気持ちになりながら、皇子に手を引かれるまま部屋の中へと入っていった。
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