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ヨンウォン皇子は近くにいる侍女たちにお茶の用意をするように告げた。
皇子に命じられた侍女たちはすぐにお茶とおいしそうなお菓子を用意して、皇子の部屋へ持ってきてくれた。
「実桜、たくさんあるゆえ好きなだけ食べるがいい」
テーブルの上には、桃にそっくりなお饅頭やゴマや松の実などを固めたおこしのようなお菓子、みたらしのような餡がかかったお団子や、ピンクや緑や白などの一口サイズのお餅などおいしそうなお菓子がたくさん並んでいる。
また、以前サラ皇女のお茶会の時に食べた梅の花を模したお餅や干した棗や杏などもあった。
「わぁー、桃饅頭だー。お団子やお餅もこんなにたくさんあるー」
色とりどりのお菓子に目を輝かせている私をヨンウォン皇子は楽しそうに眺めている。
私は可愛らしいピンク色の桃の形をしたお饅頭を手に取り、パクっと頬張った。
「わぁー、これ、すっごくおいしいー」
もちっとした皮の中にこし餡がぎっしりと詰まっていて、口に入れた瞬間、上品な甘さがふわっと広がる。
そのおいしさに自然と顔が綻び、目尻が下がってくる。
「実桜、そんなにおいしいなら全部食べてもよいぞ」
「全部食べたいけどこんなには食べれませんよー」
「まだまだたくさんあるから好きなだけ食べるがいい。帰りにボクシム先生やミランさんにも持って帰ってあげるとよいぞ」
「皇子様、ほんとですか?」
私は満面の笑みで皇子の顔を見た。
皇子は笑いながらゆっくりと頷き、おいしそうにお茶を飲んでいた。
結局私は「こんなには食べれませんよー」と言いながら、ひと通り全種類のお菓子を食べた。
そしてはち切れそうになったお腹をゆっくりと擦りながら、ふぅーっと息を吐いた。
「あー、お腹いっぱい。もう食べれない…」
「それだけ全種類食べればお腹もいっぱいになるだろう。それにしてもよく食べたものだな」
「だってどれを食べても全部おいしいんですもん。それに皇子様が好きなだけ食べていいっておっしゃったじゃないですかー」
「ああ、言った言った。そんなにおいしかったのならよかった」
ヨンウォン皇子はこらえていた笑いをプッと吹き出して、大笑いし始めた。
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