おみくじのお告げ

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その風に舞う桜の花びらの中で、美しい2人の存在はひときわ輝いていた。 絵になる美しさのあまり呆然と立ち尽くしていると、2人の会話が聞こえてきた。 「そなたの狙いはなんだ?」 「狙いなんてございません」 「皇族と婚姻関係を結び、権力や財力を不動のものとしようとしているのではないのか?」 「違います。私はただ皇子様をお慕いしているだけです」 その可愛らしい女性が悲しそうな顔をしてイケメンの男性に言う。 もしかしてドラマの撮影? そう思って周りを見渡し、撮影カメラやスタッフらしき人を探してみたけれど、それらしき人は誰もいない。 だけど2人の会話はまだ続いていく。 「兄上には正室がいるからではないのか? 私がまだ独り身のうえ、私と婚姻すれば正室になれるがゆえに、私に近づいてくるのではないか?」 「違います。皇子様」 ニコリともしないその男性に冷たく突き放された女性は、目を潤ませながらイケメンの男性を見つめている。 今にも涙がこぼれ落ちてきそうだ。 そのまま女性の顔を見ていると、瞳いっぱいに溜まっていた涙がぽとりと零れ落ちた。 「涙を流せば信じてもらえると思っているのか? 残念だが泣いたところで私はそなたを信用などしていない。それに私は誰とも婚姻するつもりはない」 (なんなの、この人?) (もう少し優しく言えばいいのに) (女の人が可哀そうすぎるじゃん) そんなことを思いながら、私は続きが気になり、ドラマのような2人の会話に吸い込まれるように見入っていた。 その時-。
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