誕生日のプレゼント

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私がいきなり歌を止めたので、ヨンウォン皇子はどうしたのかと不思議そうな顔をしている。 「実桜、どうしたのだ?」 「あっ、えっと、皇子様。この歌、英語の歌…じゃなくて、異国の歌なんです。なので言葉の意味が分からないかもしれませんが、お誕生日おめでとうございますっていう意味ですので気にしないでくださいね。じゃあもう一回最初から歌います」 私は早口でそう言うと、再びハッピーバースデーの歌を歌い始めた。 「ハッピーバースデー トゥーユー  ハッピーバースデー トゥーユー  ハッピーバースデー ディア ヨンウォン皇子様ー  ハッピーバースデー トゥーユー」 歌を歌い終わった後、私は手に持っていたお皿を皇子の前に近づけた。 皇子は目を閉じて何かを考えている。 そしてゆっくりと目を開け、ふうっーと蝋燭の炎をひと息で吹き消した。 私は炎が吹き消されたお皿を置き、 「皇子様、お誕生日おめでとうございまーす」 と言って拍手をする。 皇子は何も言わず目を細めながら、うれしそうな、照れたような、少しはにかんだような笑顔を私に向けた。 そして、私に笑顔を向けた後、すぐさま私があげた桜の花のお守りに視線を移した。 (皇子、少しはお誕生日の楽しい雰囲気、味わえたかな…) (楽しく過ごせたならいいけど…) 皇子はそのまま私の方を見ることなく、お守りを眺め続けている。 (そういえば皇子、蝋燭を吹き消す前にいろいろ考えてたけど、いったいどんなお願いごとしたんだろう) (皇子の願いごと、叶うといいな) (それはそうと私、音程大丈夫だったかな?) (あっ、 音程…) (よく私、皇子の前で歌を歌ったよね…) 時間が経つにつれて、急にじわじわと恥ずかしさが込み上げてきた。 (人前で恥ずかしげもなく歌うなんて…) (わぁー、マジで恥ずかしい…) 冷静になればなるほど恥ずかしさでいっぱいになる。 それに伴い、ドクンドクンと鼓動が早くなり、頬が熱くなってきた。 私は熱くなった頬に両手を当てた。 両手で頬を押さえながら必死で冷ます。 すると、ふと視線を上げた皇子と目が合ってしまった。
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