誕生日のプレゼント

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ヨンウォンにとってこのような誕生日は生まれて初めてのことだった。 いつもは王様と王妃様のところに形式的に挨拶に伺い、早急に退散してソンヨルやミンジュンたちと合流し、酒を飲み食事をする。 いつも一緒にいる内官や王様に取り入ろうとしている官僚たちも祝いの品を持ってきたり言葉を述べたりはしてくれるがどれも形式的なものばかりで、それが通常のいつもの誕生日だった。 こんな風に自分のために歌を歌ってくれたり、願いごとをして蝋燭の炎を吹き消したり、一緒に饅頭を食べたり…と、こんなに楽しい誕生日を過ごしたことなどは今まで一度もなかった。 じんわりと染みこむように心の中が温かくなる。 それは初めて感じる穏やかで温かくて心地のいい感覚だった。 また、誕生日の贈り物として自分の大切なお守りまで差し出してくれる実桜への愛おしさがますます大きくなっているのを強く感じていた。 ヨンウォンは実桜からもらったお守りを決して離さないように大切に首からかけた。
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