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「そなた何者だ? 何を見ている!」
急に貴族風のイケメンの男性が鋭い目つきを私に向けた。
突然、氷のような冷たい声が辺りに響く。
「えっ? わたし?」
優しさのかけらも感じられない冷たい声に、私は瞬時に固まってしまった。
突き刺されてしまいそうな鋭い目つきを向けられ、恐怖から体が硬直して動かない。
何か言おうにも、声が、言葉が出てこない。
私が立ちすくんで動けないでいると、貴族風のイケメンの男性が、そばに置いてあった刀を手に取った。
(どっ、どうしよう。体が動かない。殺されるかも…)
私はどうすることもできず、顔を背けてギュッと目を瞑った。
そしてー。
目を瞑ったまま、やっとの思いで口を開いた。
「ごっ…、ごめん…なさ…」
声を発した途端、私はその場で気を失ってしまった。
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