4069人が本棚に入れています
本棚に追加
皇子に謝りに行く?
でもどうやって?
皇子をこっちのテーブルに呼んでくる?
呼んだとしても、怒ってるから来てくれないよね。
ソユンさんに皇子がいるテーブルへと行ってもらう?
でも、いきなりソユンさんに皇子のところへ行ってともお願いできないし。
どんなに自問自答を繰り返しても満足できる答えは出てこない。
すると。
「実桜、ここにも簪があるぞ」
突然、隣のテーブルで簪を見ていたヨンウォン皇子が、とても不機嫌そうな声で私を呼んだ。
わっ、皇子やっぱり怒ってるし。
明らかにいつもとは全く違う声のトーンに、私は顔を曇らせながら心の中で大きくため息をついた。
あー、どうしていいのか全く分からない。
私はとりあえず皇子の声が聞こえないふりをしながら、そのまま簪を見ている風を装った。
皇子は私に聞こえてないと思ったのか、再び私を呼んだ。
「実桜、ここにも簪があるぞ。こちらに来てみろ」
先ほどよりかなり機嫌の悪そうな声だ。
あー、どうしよう…。
ヨンウォン皇子の方にチラリと視線を向けると、怖そうな目つきをした皇子が私を見ていた。
ここはやっぱり、皇子にちゃんと謝らなきゃいけないよね。
私は気が重くなりながらも、ミンジュンさんとソユンさんに引きつった笑顔を向けて、
「ちょっと皇子様をこっちに呼んできます」
と告げて隣のテーブルへと移動した。
そして、皇子にソユンさんを独占していたことについて謝ろうと口を開いた。
「あ、あの…、皇子様…」
私がそう言葉を発した途端、ヨンウォン皇子はいきなり私の手首をガシッと掴んだ。
最初のコメントを投稿しよう!