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ヒューーー。 ドーーーン。
ドドーーーン。 ドーーーン。
急に大きな音がして地面から揺れるような衝撃を感じた瞬間、濃紺の夜空にキラキラと輝く美しい花火が大輪の花を咲かせた。
「あっ、花火だー。花火が上がったぞー」
どこからともなく喜び弾んだ声が聞こえ始める。
みるみるうちに大勢の人が集まってきて、黒山の人だかりができ始めた。
皆が一斉に彩られた空を見上げる。
私も一緒になって夜空を見上げた。
ヒュルヒュルヒュルヒュルーーー。 ドーーーン。
ドーーーン。 ドーーーン。 ドォォォーン。
金色にキラキラと花開いたあと、赤や青へと変化するまんまるの大きな花火や、花が開いたあとこちらに降ってきそうなくらい眩い光を残したまま垂れ下がってくるしだれ柳のような花火、また色とりどりのたくさんの小さな花がこぞって花開く可愛い菊の花のような花火など、赤や青、緑、金色といった鮮やかな光の花火が夜空を華麗に彩る。
まるで夜空に魔法がかかったようだ。
花火が上がるたびにどよめき、見ている人たちから歓声が沸き上がる。
周りから沸きあがる歓声を遠くに感じながら、私はしばらくの間、目の前に上がってくる花火をぼんやりと見つめていた。
こんな気持ちじゃなかったら、私もみんなと同じように「わぁー! わぁー!」と歓声を上げながらこの花火を見ていたはずだ。
だけど今、この花火の音が鳴り響くたびに私の身体の奥に重苦しい痛みがズドーンと突き刺さる。
パッと華麗に花開き、サッと瞬時に散ってしまう、華々しくも儚い花火。
目の前に見えるのに手を伸ばしても届かない、決して掴むことができない花火。
まさに今の私のヨンウォン皇子に対する気持ちのようだ。
私の気持ちもこの花火のように一瞬にして消えてしまえばいいのに…。
私の心は花火の音と一緒に悲鳴をあげ続けていた。
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