愛する気持ち

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ふと、何かが私の手に触れた。 何だろう?と思って視線を下に向けると、どうやらミンジュンさんの手に触れてしまったようだった。 隣に立っているミンジュンさんの方に顔を向けると、ミンジュンさんは夜空に上がる花火ではなく、私の方を向いていた。 そして、いつも以上の甘い笑みを浮かべてなにか私に言っている。 だけど、花火の鳴り響く音が大きすぎて何を言っているのか全然聞こえない。 私は聞き返すように「えっ?」と耳に手を当てた。 すると、ミンジュンさんは私の耳元に顔を寄せ、 「実桜どの、とても美しい花火ですね」 と、優しい声で囁いた。 (い、いつもより距離が近いけど…) (今、手が触れたのって、わざと…じゃないよね…?) いつもとは少し違うと感じるミンジュンさんに不思議と不安が押し寄せてくる。 もしかして手を繋いでみようとか思ったりしたのだろうか? いつも良くしてくれるミンジュンさんには悪いけど、こんな気持ちの状態で手を繋がれたりしたらと思うと、身体が、心が拒否してしまう。 私は再び夜空を見上げ、花火を見入るように一歩前に踏み出した。 そして胸の前で両手を組み、その手を顎の下につけた。 そのまま視線を動かさないよう、花火をじっと見つめ続けていた。 連続して大きな花火が何度も打ちあがった後、花火を見ていた大勢の人たちが少しずつ散らばり始めた。 どうやら今の連続した花火が最後の花火だったようだ。 「実桜さまー」 ソユンさんの呼ぶ声が聞こえる。 声が聞こえた方へ振り向くと、ソユンさんがヨンウォン皇子と私たちのいる方へとやってきた。 私はソユンさんに笑顔を向けながら手を振った。 心の中にまたズキッとした痛みが突き刺さる。 「ソユンさん、花火とてもきれいでしたねー」 「ほんとにとてもきれいでした」 「こんなきれいな花火が見れるなんて思ってなかったから、来てよかった」 心の中の気持ちとは全く反対のことを言いながら、ソユンさんの顔を見て、嘘の笑顔でニッコリと微笑む。 ソユンさんもうれしそうな笑顔を私に向けた。
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