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「謝ればいいっていう問題じゃねーんだよ。俺の服を汚しやがって。いったいどうしてくれるんだ!」
「本当にすみません。どうか許してください」
母親は泣いている女の子を抱きしめながら、必死に男たちに土下座をして謝っている。
「さぁて、どう責任をとってもらうかな」
男たちはニヤニヤしながらその親子たちに近づき、取り囲んでいる輪を狭めていった。
「ミンジュン」
ヨンウォン皇子がミンジュンさんの名前を呼び、目で合図をした。
ミンジュンさんは『わかった』 というようにヨンウォン皇子を見て頷く。
「お前たち、やめぬか!」
ヨンウォン皇子が男たちに向かって叫んだ。
その声に男たちが一斉にヨンウォン皇子の方へ振り向いた。
「はぁ? 誰に向かって指図している?」
「お前たちしかいないであろう。見てわからぬか?」
ヨンウォン皇子は呆れたようにフッと笑い、蔑んだ目で男たちを見る。
「あっ、お前は…、いつぞやのヤツだな。また会うとは嬉しい限りだ」
リーダー格の男がふてぶてしい笑みを浮かべ、ヨンウォン皇子にそう言い放った。
「なんだ、覚えていたのか。私もお前に会えて嬉しい限りだ。前回さっさと退散していったのに懲りないヤツだな」
「うるさい! 今度は俺たちが借りを返してもらうぜ」
「またどうせ退散していくのだから素直にやめておけ」
ヨンウォン皇子はあざ笑うように男たちに冷たい視線を向けた。
「なんだと。言わせておけばいい気になりやがって。この者たちをやっちまえー!」
リーダー格の男がそう言うと、仲間の男たちは一斉に胸から隠してあったナイフを取り出し、ヨンウォン皇子とミンジュンさんに向かって走り出した。
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