4068人が本棚に入れています
本棚に追加
「皇子様、おそらく明日の朝までには目を覚まされると思います。目を覚まされましたらまたすぐにお呼びください」
「わかった。実桜が目を覚ましたらすぐに内官を送る」
「かしこまりました。ではこれで失礼致します」
医官長は頭を下げ、部屋から出て行った。
医官長が部屋から出て行ったあと、ヨンウォンは実桜のそばへと移動し、腰を下ろした。
再び実桜の手を柔らかく握る。
「実桜…、実桜…」
実桜に話かけるように名前を呼んでみるが、実桜は目を閉じたまま何も反応はない。
だが、不安で仕方がなかった先ほどまでとは違い、医官長からの『危険な状態は回避した、もう大丈夫だ』という言葉を聞き、ヨンウォンの重苦しかった心が少しずつ軽くなり始めていた。
実桜が目を覚ます。
もう一度、実桜の笑顔が見れる。
そう思うと、実桜がヨンウォンの呼びかけに返事をしなくても、心の平安が得られるとともに自然と笑みがこぼれてくる。
「実桜、よく頑張ったな…」
ヨンウォンはそう言って実桜の髪をそっと撫でた。
最初のコメントを投稿しよう!