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私は夢を見ていた。
「実桜、どこにいたんだ? パパとママがどれだけ心配して探し回ったと思ってるんだ?」
「実桜、本当に実桜なのね。パパとママは随分と実桜を探したのよ。事故にあったんじゃないのか、誘拐されたんじゃないのかって…。本当に心配で仕方なかったんだから…」
パパとママが私に手を伸ばし、涙を流しながら喜んでいる。
「パパ、ママ…。心配かけてごめんなさい…」
「探しても探しても見つからないし、もう二度と会えないと思ってたんだから…。実桜、いらっしゃい。早くお家に帰るわよ」
「ごめんなさい。本当にごめんなさい…」
私はパパとママに謝りながら、2人の手を掴もうと自分の手を伸ばした。
すると。
「実桜…、実桜…」
どこからか私の名前を呼ぶ声が聞こえる。
どこか懐かしい、愛しい声。
「実桜…、実桜…」
何度も何度も私の名前を呼んでいる。
(あっ、この声は…)
私は急いできょろきょろと辺りを見渡した。
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