王妃の予言

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「ああ。そなたの遠戚の娘と婚姻をしたいと言ってきた。見ての通り、ヨンウォンには後ろ盾が全くいない。ヨンウォンの母であるファヨン王妃が生きておればまた違っていたのであろうが、ヨンウォンの言う通り、豪族の娘と婚姻させれば王宮内で争いが起こることは目に見えておる。それは間違いないだろう。それで、豪族ではないボクシムの遠戚の娘であれば、争いも起こらないであろうし、私も何も言うことはない。そなたのことは全くもって信頼しておるしな。それにボクシムがいてくれるなら、ヨンウォンにとっても心強い後ろ盾ができるであろうからな。それで頼みというのは、その遠戚の娘をヨンウォンと婚姻させることは可能であるか? ということなのだ」 「…………」 ボクシムは言葉に詰まってしまった。 実桜は自分の遠戚の娘ではない。 婚姻させるより何より、実桜がシンファの国の者ではないこと、異国から来た女人であることをまずはヒョンジョンに伝えなければならない。 ボクシムは顔を曇らせながら床に両手をつき、ヒョンジョンに深々と頭を下げた。 「王様、大変申し訳ございません。実は…、実桜は私どもの遠戚の娘ではないのです」 「どういうことだ?」 「実桜は異国から来た女人でございまして、この国に知り合いも全くなく、また帰る場所もないため、私どもの遠戚の娘ということにして一緒に生活しております」 「異国? 異国とはどこの国だ?」 「それが日本という国でございまして…。誰もそのような国は存じていないのです」 「日本? そんな国があるのか? 聞いたことがない。私もそのような国は知らぬ…」 「はい。私も様々な書物を取り寄せて調べましたが、そのような国のことはどの書物にも記載がございませんでした。ですが王様、どこの国から来たのかは分からない女人でございますが、実桜は決して悪い女人ではございません。とても心根の優しい、しっかりとした女人でございます。私どもは本当の娘と思い、一緒に生活しております」 「…………」 「王様、遠戚などと偽りを申しておりまして大変申し訳ございませんでした」 そう言って頭を下げるボクシムに、ヒョンジョンは、 「そなたがそう言うのであれば、きっと良い娘なのであろう。そうか。遠戚の娘ではないのか…」 と言って少し落胆したように肩を落とした。
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