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小さく息を吐いたヒョンジョンは、再び視線をボクシムに向ける。
「だがもし…、もし仮にヨンウォンとの婚姻を成立させるとなった場合、ボクシム、その娘をそなたの養女として婚姻させることは可能であるか?」
「王様、それは大丈夫でございます。私どもはいつでも実桜を養女として受け入れるつもりでございます。ですが王様、それは実桜が望めばの話でございます。大変申し訳ないのですが、実桜が婚姻することも養女になることも望まないのに、私は勝手にそのようなことをするつもりはございません」
ボクシムはそう言葉を発すると再び深々と頭を下げた。
「なるほど。わかった、ボクシム。さすがであるな。皇族との婚姻の話があがると、どの家も利権を得るために必ず成立させようと躍起になるものだが、そなたはやはり違う。私が信頼しているだけあるな。そなたと話ができてすっきりした。そろそろ酒を注いでくれないか?」
ヒョンジョンはそう言って微笑むと、テーブルの上に置いてあった盃をボクシムの前に差し出した。
そして、ボクシムが注いだ酒を数回受けると「ヨンウォンのことを頼む」と言って、従事官とともに王宮へと帰って行った。
ヒョンジョンが王宮へと帰ったあと、それを待っていたかのようにミランが部屋の中へと入ってきた。
「あなた、王様は何をおっしゃりにここに来られたのですか?」
心配そうな顔をしてボクシムの顔を見つめる。
「あ、ああ…。実桜を…、実桜をヨンウォン皇子様の婚姻の相手にどうかとおっしゃられた」
「えっ? 実桜を…、実桜を皇子様の婚姻の相手にですか?」
ミランはとても驚いたように目を見開いた。
「そ、それであなたはどうするおつもりなのですか?」
「そうだな。実桜の気持ちを聞いてみようと思っておる」
「あなた。私は反対です。実桜を皇子様と婚姻させるだなんて」
ミランは首を左右に振りながら顔を顰めた。
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