王妃の予言

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「おいミラン、何を言う」 「私はヨンウォン皇子様が嫌で言っているのではありません。ヨンウォン皇子様と実桜が婚姻するのであれば、こんなうれしいことはありません。ですがあなた、実桜が皇子様と婚姻すれば、実桜は王宮の中で暮らすことになります。実桜にあんな王宮の中で生活させるなんて、私は絶対に嫌です。実桜が王宮でどんな目にあったのかはあなたもご存知でしょう。あんな風に身体を痛めつけられて戻ってきて…。王宮の中にいたら実桜が大変なことに巻き込まれてしまいます。私は…、私は実桜を本当の娘だと思っています。実桜には幸せになってもらいたいのです」 ミランがぽろぽろと涙を流しながらボクシムに訴える。 「ミラン、そなたの気持ちはよくわかっておる。私とて同じ気持ちだ。だが実桜の気持ちも大切であろう?」 「そうですが、あなた…。ミンジュンは…、ミンジュンではダメなのですか? ミンジュンでしたら実桜のことを慕っておりますし、申し分のない相手です。実桜もきっと幸せになれると思います。王宮で暮らすこともないですし、ミンジュンではダメなのですか?」 「ミラン、一番は実桜の気持ちだ。実桜が誰と一緒に過ごしたいかなのだ。もしかしたら自分の国に戻りたいと言うかもしれんしな」 ボクシムはそう言って涙を流すミランの背中を優しく撫でた。 興奮していたミランをなんとか落ち着かせ、自分の書斎へと戻ってきたボクシムは、ヒョンジョンが言っていた『ヨンウォン皇子の婚姻の相手』という言葉に、ある人物のことを思い出していた。
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